よくある質問(回答)

Q.正しいオイルの選び方を教えてください。
A.みなさんは、オイルを選ぶとき何を基準にしていますか?
APIグレード、SAE粘度、成分、ブランドも大きな選択ポイントでしょう。

オイル界はブランドイメージが幅を利かしています。
このブランドというのは、オイルの世界では絶大な威力を持っていて、日本ではカストロールがダントツの人気。それに次いでBPというところではないでしょうか。
モチュール、エルフ、ワコーズ、シェルなどなど、メジャーブランドはいくつもありますが、トータルセールスではカストロールがダントツ、というのが実情です。

以前、付き合いのある用品メーカーがアメリカからオイルを輸入して販売しようとしたのですが、担当者が「本当は4Lで2,980円でもいいんだけど、新参ブランドでなおかつ安いと、性能の低い廉価オイルだと思われてまったく売れないんだ。だから1Lで3,000円とか4Lで1万円といった値段を付けて、
高級高性能なイメージを出さないとダメ。
中身は同じなんだけどね」と言っていました。

結局そのオイル販売は取りやめになったのですが、何でもアメリカから入って来る価格は1Lあたり数100円だとか。
化学合成の結構いいオイルだったんですけどね。
裏を返せば、オイルが当たれば爆発的に儲かるわけです。

今では、高性能オイルとしてレース関係者やマニアの間で高い信頼を受けているモチュールも、20年ぐらい前までは日本ではほとんど知られていませんでしたが、80年代半ばのロードレースブーム初期に、ヨシムラを2年間(3年だったかな?)フルサポートしたことで一気に広まりました。
当時サーキットでは「スポンサーフィーは年間5000万円!」なんて噂が流れていたもんです。


そろそろバイクにはバイク専用オイルを選ぶ時期になって来ました

さて、話を本題に戻しましょう。
行きつけのバイクショップでオイル交換する場合は、純正以外にあっても1?2ブランドでしょうし、ショップのオーナーやメカニックが相談に乗ってくれますから、それほど悩むこともないでしょう。
一方、バイクにも対応してくれる大手カー用品店で交換して貰ったり、自分で交換する場合は、基本的にオイルは自分で選ぶことになります。

一部の4輪用高性能オイルはバイクに合わないことがあります。
4輪用オイルがダメなのではなく、そろそろバイクにはバイク専用のオイルを選ぶ時期が来たということです。

まずオイルのグレードですが、最も広く使われている規格に米国石油協会のAPIがあります。SA、SB、SC、SD、SE、SF、SG、SH、SJ、SLの10グレードありますが、現在一般ルートで売られているのはSFから上になっています。この規格は基本的に4輪を対象にしていて、許容回転域が高く、熱的にシビアで、しかもクラッチやミッションも一緒に潤滑するバイクには合わない部分もあるのですが、それもSGまでは無視できるレベルでした。
ところがSH、SJ、SLになると時代の流れから省燃費性が高く要求されるようになり、5W-30、0W-30といった低粘度オイルが増え、摩擦抵抗を減らすためにモリブデンなどのフリクションモディファイヤーを配合するケースも多くなって来ました。
その結果、バイクに使用するとミッションの潤滑不良やクラッチの滑りを誘発する可能性が高くなったため、1998年に日本で新たにバイクへの適合性を考えた、JASO(自動車技術協会)規格が設定され、MA、MBの2グレードが生まれました。

この2つのグレードに優劣はなく、MAはせん断安定性に優れるオイル、MBはバイク版の省燃費オイルという位置づけになっていますが、どちらかというと、ミッションに力の掛かる大排気量車にはMAが、フリクションロスを嫌う中小排気量車にはMBが合っているようです。

2輪用オイルはミッションの保護性能とクラッチとの相性も問われるので、4輪用を前提にしたAPIグレードだけでは語ることはできません。ホンダ純正2輪用オイルの中では最高グレードとなるウルトラGPも、AP
IグレードはSFです。SAE粘度は10W-40と20W-50の2種類あります。

いずれにしても4輪用として売られているSH、SJ、SLオイルは避け、バイク用もしくはMA、MB表示のあるものを選ぶ。
4輪用を使うならSGにする。というのが間違いのない選択基準です。

次にSAE粘度ですが、バイク用として売られているオイルは、純正を含めてほとんどが10W-40の設定になっています。基本的にこの粘度で1年を通して使えますが、ビッグバイクで夏場にシフトが固くなったりアイドリングが不安定になったりする場合は、15W-40か20W-50あたりに上げると解消されることがあります。


低粘度オイル・超ワイドレンジオイルは基本的にバイクに向きません。前にも少し触れましたが、最近増えて来ている5W-30や0W-30といった低粘度オイルは、高温時の粘度低下を防止するために粘度指数向上剤という添加剤を多く配合する傾向にあります。

この粘度指数向上剤はせん断力に弱いため、
この性能に頼りすぎているオイルはミッションを一緒に潤滑するバイクには向きません。
5W-50や10W-60といった超ワイドレンジオイルも、粘度指数向上剤に頼る傾向が強いので注意しましょう。

結局のところ、オイルの善し悪しは使ってみないと判断できませんし、ある程度の経験がないと使ってみても解らないかもしれません。

簡単な判断材料としては、エンジンノイズとシフトタッチがあげられます。
どんなオイルでも交換直後は粘度が安定しているのでエンジンが静かになり、シフトタッチも滑らかになりますが、低品質あるいはバイクに適していないオイルは、1,000Kmも走ると粘度指数向上剤がせん断されて粘度低下を起こし、エンジンノイズが大きくなったり停止時にニュートラルが出しにくくなったりします。
新品時のフィーリングを良く覚えておいて、
そのあたりの変化をオイル選びの判断基準にするといいでしょう。

レース専用2サイクルオイルは使用厳禁!

最後に2サイクルオイルですが、これも今まで明確な基準がなく、
粗悪なオイルを入れたためにカーボンで排気ポートが詰まってしまうことがありました。
そこでやはりJASOが1994年に規格を作り、FA、FB、FCの3グレードが生まれました。

CCSC



これはスズキ純正CCISスーパーオイル。
純正オイルの中では比較的安価で性能も高
いというもっぱらの評判で、私もRZに乗
っていた頃に愛用していました。FCグレ
ードの2サイクルオイルです。





FAは「2サイクルエンジンにとって最低限の性能を有する」
FBは「FAに比べて特に潤滑性と清浄性に優れる」
FCは「FBに比べて排気煙の少なさと排気ポートの耐閉塞性に優れる」
という内容になっています。純正を含めて、現在売られている2サイクルオイルはほとんどがFCグレードです。

2サイクルオイルはガソリンと一緒に燃える性質上、
質の悪いオイルを入れると不完全燃焼を起こし、100%調子が悪くなります。
そういった点では純正オイルがいちばん間違いのないチョイスですが、
名の通った一流メーカーのオイルを入れたくなるのも人情というもの。
その場合は、必ず分離給油用(または分離・混合共用)と書かれていることを確認して下さい。

排気ポート




粗悪なオイルを使い続けたために
カーボンで排気ポートが詰まって
しまったスクーターのエンジン。
こうなるともうまともには走って
くれません。






ギアオイル







2サイクルエンジンにはもうひとつ、
ミッションとクラッチだけを潤滑す
るギアオイルが使われています。
ギアの歯面を守るための極圧添加剤が
多めに配合された専用オイルですが、
4サイクルのエンジンオイルでも代用か効きます。

4サイクルではレース用のオイルを入れも、寿命が短いだけで特に悪影響はありませんが、2サイクルでは混合専用のレース用オイルを使うと、確実に調子が悪くなるので注意しましょう。

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